【本の紹介】「朝ごはん」をテーマに描かれる、温かい物語『あさめしまえ』

1日の始まりを彩る「朝ごはん」。朝ごはんを食べる派、食べない派の間で賛否両論あるものの、やっぱりおいしい朝ごはんを食べると「頑張ろう」という気力がわいてくるもの。嫌な夢を見た時や、何か不安を抱えている時、悲しみの中にある時など“負の感情”に支配されそうな時ほど、朝ごはんでリズムを作ることの大切さを実感します。

『あさめしまえ』(北駒生/講談社)は、そんな「朝ごはん」をテーマに描かれるマンガ作品です。本作品の主人公は、子どもの頃に母親が家を出ていき、食堂「アサメシマエ」の朝ごはんに救われた20代男子・日高元。その後日高は料理人に憧れて調理師学校に通いイタリアンの厨房で働いていましたが、ある日「アサメシマエ」の閉店を知り、その一人娘である早夜子に店の再開を提案。でも、あっさり拒否されてしまいます。

が、翌朝日高は改めて「アサメシマエ」が好きだ、守りたい、と話し、働いていた店に辞表を出しに行くと早夜子に表明。結果、「わたしは手伝えないけど店は貸す」と許可をもらい、「アサメシマエ」を再開することとなったのです。

◆小さな食堂だからこそできる、相手を見て作る料理

再開後、はじめは鳴かず飛ばずで厳しい状況でしたが、日高の人を大切にする、相手のことを考えた食事作りが徐々に人の心を動かしていきます。地元の人たちに密着した食堂ならではの交流も多く、ただ朝ごはんを提供するだけでなく、親子の悩みを聞いて解決したり誕生日パーティーを開催したりとどんどん「人が集まる場所」になっていきます。

「料理」というのは、本来食べる人のことを思って作る温かみのあるもの。今日は体調が良くないから消化のいいものを、とか、体が冷えるなら温まるものを、とか。そしてその1つ1つの気遣いが、いつの間にか作った人と食べる人との思い出になっていくのです。この作品は、そんな料理を通した思いやりの心を改めて思い出させてくれます。

そんな温かい物語の中で登場する料理はどれもおいしそうで、とても輝いて見えます。お味噌汁1つ、おにぎり1つとっても、そこに作り手の“気持ち”がこもればそれはもう特別な料理なのです。見ているだけで朝ごはんのいい匂いが漂ってきそう…。作中でレシピも紹介されているので、実際に作ることも可能です。

◆変わっていくものも、変わらないものも…

2巻以降、日高が働いていたイタリアンレストランのオーナーが登場したり、出ていった日高の母親が登場したりと、日高のまわりも少しずつ変化していきます。変わるものと、変わらないもの。そのどちらもが大切に描かれ、お客さん1人1人の成長や変化、生き様まで見られるのもこの作品の魅力です。

時間に追われる日々を過ごしていると、ついつい食事がおろそかになってしまいがちですが、そういう時こそこの『あさめしまえ』を読んで、思いのこもった食事を作って食べてみませんか?

 

『あさめしまえ』を読む

 

* * * * *

この「水音LIFE」では、1人暮らしを楽しくストレスフリーに生きるための情報を多数発信しています。ぜひほかの記事もチェックしてみてください♡

文=水音 @mizuoto_record



タイトルとURLをコピーしました